冷凍したお肉を解凍すると、赤い汁が出ることがあります。
捨てた方がいいのか、料理に使った方がいいのか、困った経験はありませんか?
赤い水の正体は「ドリップ」
サラサラとしていて、血のようにも見える「赤い汁」。
冷凍してあったお肉の解凍時に出ることが多いですが、冷蔵で売られているお肉にも、この汁が付いていることがあります。
この汁は「ドリップ」と言います。
一般には冷凍肉を解凍したときに肉の内部から分離して出る液体のこと。食肉を緩速凍結すると氷結晶の体積が増加して、細胞組織が損傷し、解凍すると細胞内の可溶成分(たんぱく質、エキス分、ビタミン類など)までも水分とともに細胞外へ流出するため、食肉のうま味が低下する。
財団法人日本食肉消費総合センター
解凍するときに、お肉から分離してしまった液体が「ドリップ」の正体です。
血液ではありません。
ドリップが出てしまうということは、旨み成分や水分が出てしまっているということなので、栄養が下がったり水分が減ってパサパサのお肉になってしまうということです。
ドリップは、出ない方がいいものです。
ドリップは食べられる?
長時間常温で放置していた、衛生上良くない状態にあった、腐ってたり傷んでいる、臭いがする、などがなければ、お肉同様加熱すれば食べても大丈夫です。
お肉と一緒に調理してしまったとしても、不安になる必要はありません。
ただし、ドリップは細菌が繁殖しやすいので、健康面を考えて捨てた方がいいです。
また、食べてもおいしくありませんし、臭みが出るので、取り除いたほうがいいです。
お肉をおいしく安全に食べるためにも、ドリップはしっかり取り除きましょう。
出てしまったドリップはどうすればいい?
出てしまったドリップは、健康や味のことを考えて使わずに捨てましょう。
お肉についているドリップも、しっかりと取り除くべきです。
キッチンペーパーなどで汁気をしっかり拭き取ってから調理しましょう。
汁気がなくなるまで拭き取ったあとは、通常通りの調理方法で大丈夫です。
洗う時にも気をつけて!食中毒の危険も
ドリップはお肉同様、食中毒を起こす可能性のある菌が含まれています。
お肉を扱う際の基本的なことですが、以下のことに注意しましょう。
ドリップは、液体なので飛び散りやすいです。
洗うときに周りに飛び散らないように気をつけてください。
また、ドリップが他の食品に触れないように注意が必要です。
旨みと栄養を逃さないようにする急速冷凍の方法
ドリップが出てしまうのは、冷凍と解凍の方法がよくなかったからです。
食肉を緩速凍結すると氷結晶の体積が増加して、細胞組織が損傷し、解凍すると細胞内の可溶成分(たんぱく質、エキス分、ビタミン類など)までも水分とともに細胞外へ流出する
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ゆっくりと冷凍することが原因でもあるので、まずは冷凍する方法を変えましょう。
出来るだけ急速冷凍するように心がけます。
残念ながら一般的な家庭用の冷蔵庫では、急速冷凍するのはなかなか難しいです。しかし少しの工夫でも何もしないよりは効果があるので、やる価値はあります。
手軽に始められる方法として、金属トレーやバットなどの金属製のものを使った冷凍方法があります。
ナガオ 角バット ステンレス調理バット 大 3枚セット 日本製 料理用バット 調理用トレー
金属トレーやバットで冷凍するものを挟み、出来るだけ早く冷やす方法が簡単です。
金属トレーやバットは、100円ショップでも購入できます。冷凍庫のサイズに合ったものを利用しましょう。
あとは、冷凍庫の開け閉めを少なくし、冷凍庫内の温度が上がってしまうのを防ぐことも大事です。
出来るだけ温度変化の少ない場所にしまうのも効果的です。
冷凍肉の正しい解凍方法 解凍場所と時間
ドリップを出さないためには、解凍の方法も大事です。
冷凍室から肉を出し、冷蔵室へ移動させ 、冷蔵庫内で時間をかけ自然解凍することが最善の方法です。解凍中の温度は 1 ~ 3°Cが最適ですが、この温度ではドリップもほとんど出さずに品質を保ったままの解凍が可能です。
教えて!食肉の流通・加工
常温で解凍するのは早くて便利ですが、ドリップのことを考えるならNGです。
一般的な冷蔵庫の温度をみてみましょう。
【冷蔵庫】 冷蔵庫の庫内の温度はどのくらいなのか?
冷蔵室
(強):(中)より約2〜3℃低め
(中):約3〜6℃
(弱):(中)より約2〜3℃高めチルド:約0〜2℃
【冷蔵庫】 冷蔵庫の庫内の温度はどのくらいなのか? – 冷蔵庫/ワインセラー – Panasonic
冷蔵庫の各室の適温を知りたいです。
冷蔵室:約+2度~+6度
冷蔵庫の各室の適温を知りたいです。:日立の家電品
真空チルドルーム:約-1度~+1度
野菜室:約+3度~+7度
解凍するのに適した温度は、1〜3℃です。
低めの温度設定にした冷蔵室か、チルドでの解凍がおすすめです。
冷蔵庫は頻繁に開け閉めをすると、それだけ庫内の温度が上がりやすいので注意してください。
解凍にかかる時間は、半日〜1日程度です。
お肉の種類や大きさにもよるので、これは目安です。
夕食に使うつもりのお肉なら、前の晩に冷蔵庫に移しておけば安心です。当日の朝でも、お肉によっては間に合います。
完全に解凍しきるよりも、半解凍状態での調理がおすすめです。
おいしい肉汁が流れ出てしまわないようにするために、中が少し凍ったままの状態で調理しましょう。
急いで今すぐ解凍したいなら、専用グッズで超スピード解凍
冷蔵庫での解凍は時間がかかるのが難点です。
ドリップを出さないためにはゆっくりと時間をかけて解凍するのが好ましいですが、どうしても素早く解凍したいなら、専用のグッズを使うと便利に行えます。
使い方はとても簡単です。
解凍したい食材を、このプレートにのせるだけで、通常よりも素早く解凍することができます。プレートは室内に置いて利用します。
例えばこちらの商品。
食材にもよりますが、室温にそのまま置くのと比べて三分の一程度の時間で解凍することができます。
・気温21度で、通常は紙皿に置いた比較試験(効き目、効能は環境や状況によって異なる
・牛肉ステーキ:19×8.0×1.5cm、通常「100分」、解凍エコちゃん「30分」
・鶏肉もも:14.5×5.0×1.5cm、通常「120分」、解凍エコちゃん「40分」
Amazon|藤田金属 解凍 プレート 日本製 アルミ製スイト 解凍エコちゃん 958507
冷蔵庫での解凍と比べれば、もっと時間を節約できます。
急速に解凍するので、普通に常温で解凍するよりもドリップも少なくすみます。
こちらは、Amazonでベストセラー1位の人気商品です。お弁当の粗熱取りもできて便利です。
他にも似たような商品があるので、大きさや値段で比較してみてください。
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牛肉や豚肉よりも鶏肉の方が出やすい
お肉の解凍で出るドリップですが、種類によって出やすさに差があるのをご存知ですか?
実は、牛肉や豚肉よりも、鶏肉の方がドリップが出やすいです。
汁けの出やすいのは鶏肉。ことに汁けの出た手羽さきや手羽もとは皮のにおいが気になります。このような場合は、冷水でさっと洗うとよいのです。洗ったあと、しっかり水けをふき取ります。
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ドリップが多い場合は、さっと洗ってから調理しましょう。
水気をしっかり拭き取るのを忘れないようにしてください。
その後は、通常通りの調理手順で大丈夫です。